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旧浪岡町にある青森市中世の館の全景。この広さを数人で管理する
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現場へ! 危地にある博物館①

 驚くほど広い博物館だった。ホールつきの新館と元小学校の旧館で延べ床面積は約3300平方メートル。ちょうど来館者が玄関を入るところで、職員が「地元の歴史や館内を紹介するビデオがありますよ」と声をかけ、手動で展示室の照明をつけた。「節約しませんと。これだけでずいぶん違うんです」と佐藤忠行館長。

 青森市浪岡にある「青森市中世の館」は1992年開館。南北朝時代に活躍した北畠顕家を祖とする浪岡氏の居城・浪岡城の歴史や郷土の民俗などを展示する博物館だ。現在は市の指定管理者としてNPO婆娑羅凡人舎(ばさらぼんどしゃ)が委託を受け、事務室では3人が働く。「でも、常設展示はいじれないんです。私自身、しろうとですし、何かあると市の職員が来る」と話す。展示室は2020年にリニューアルされた時のままだ。

 青森市文化遺産課によると、同課が管轄する「市中世の館」「縄文の学び舎(や)・小牧野館」「あおもり北のまほろば歴史館」「市森林博物館」の4館はすべてNPOなどに指定管理者委託をしている。「管理のみをお願いしており、展示に関わってもらうことはありません」と同課の児玉大成(だいせい)主幹(51)。

 唯一、定期的に企画展を行っているのは、NPO法人あおもりみなとクラブに委託された「あおもり北のまほろば歴史館」だ。前身にあたる「みちのく北方漁船博物館」の時代にも学芸員を務めた福士美香さん(48)が市所蔵の民俗資料などを借り出し、企画展示室で公開している。「刺し子などの良い資料があるので……。少しでも見てもらいたくて」

 合併が繰り返されてきた自治…

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